ダンボールガイド
ダンボールとは?
ダンボールとは「中芯と呼ばれる波型の原紙に、ライナーと呼ばれる板紙を貼り合わせたもの」です。
包装、梱包、保管、物流はもとより、販売促進やアート、工作、近年では災害時などと幅広く利用されています。
ダンボールの構造
ダンボールは、緩衝性や耐荷重性を発揮する為の波型の中芯とそれを保持するために貼合されたライナーで作られています。
断面の波形が建築でも用いられるトラス構造となっており、これにより優れた耐荷重性を発揮。
更に波状の空間はクッション性や保温性にも富み、緩衝材としてや災害時にも非常に活躍します。
一般的な中芯の両側にライナーを貼り合わせたシングルダンボール以外に、以下のような分類があります。
- 片面ダンボール
- シングル
- ダブル
- トリプル
部位の名称
ダンボールシートは辺を「縦・横」ではなく、「幅・流れ」と呼びます。
用途によって幅と流れの方向を決めることで強度や加工のしやすさが変化します。
環境にやさしいダンボール
ダンボールは「リサイクルの優等生」とも呼ばれ、梱包材・緩衝材などに使用された後は資源ゴミとして9割程が回収されて新しい段ボールとして生まれ変わります。
リサイクル工程も水に混ぜるだけで繊維状に戻る為に環境負荷が低く、新しいダンボールの原料は90%以上が古紙を使用している事からダンボールは最もリサイクルシステムが確立されている資源の一つと言えます。
また、ダンボールはたとえ放置されても最後は土に還ります。
まったくゴミの出ない資源それがダンボールです。
形状について
A式(みかん箱)
最も一般的なダンボール箱の形状。荷物の発送用や保管用など汎用的に利用されています。
- メリット
- 他の形状より安価
- 強度が高い
- 初回製造に木型代が必要ない
- デメリット
- 組立にテープが必要
- 高さ55mm未満の場合は製作困難
B式 -ワンタッチ底-
箱を筒状に開くだけで底が組みあがる形状。梱包効率が良く、商品発送の多い場合に有効です。
- メリット
- 組立が簡単
- テープの使用量が少ない
- デメリット
- 底面がフラットにならない
- 初回製造に木型代が必要
B式 -アメリカンロック(地獄底)-
小物や軽量物の梱包に適しています。一般的に、商品の化粧箱・個装箱として使われます。
- メリット
- ワンタッチ底より安価
- テープの使用量が少ない
- デメリット
- 底面がフラットにならない
- 初回製造に木型代が必要
B式 -キャラメル(サック箱)-
蓋と底を差し込むだけで簡単に組みあがる形状。軽量物の贈答用や個装箱として使われます。
- メリット
- ワンタッチ底より安価
- 組立が簡単
- 底面がフラットになる
- デメリット
- 発送時は上下面にテープが必要
- 初回製造に木型代が必要
ヤッコ式(タトウ式)
薄型の物(書籍、CD、衣類など)、A式では作れない高さの低い箱が必要な場合に使われます。
- メリット
- A式で製造できない高さ(10mm~80mm)が製作可能
- デメリット
- A式よりコストがかかる
- 組立後、四隅に隙間ができる為に強度がやや低い
- 初回製造に木型代が必要な場合がある
N式
カタログ・パンフレットなどの書籍や衣類など、背の低い物の梱包に適しています。
メール便にもよく使われます。
- メリット
- テープの使用量が少ない
- ヤッコ式より強度が高い
- デメリット
- 初回製造に木型代が必要
- 組立に慣れが必要
C式(弁当箱型)
ギフトなどの贈答用や収納箱に利用されます。
再開封が容易な為、ギフトボックスや書類や衣類などの収納用に適しています。
- メリット
- 高強度
- 再開封が容易
- デメリット
- 製造に手間がかかりコストが高い
- 初回製造に木型代が必要な場合がある
板ダンボール(シート・仕切り板)
緩衝材としての当て板や仕切り、展示や工作などに使用されます。
高い保温性から、災害時の敷物やパーテーションとしても利用されます。
- メリット
- 初回製造に木型代が必要ない
- デメリット
- 反りが起こるため長期間保存に向かない
木型について
ダンボールの製造は形状によって「木型」と呼ばれるものが必要になります。
木型は、ベニヤ板に切り刃と罫線刃を取り付けた打ち抜き用の型です。
木型が必要なダンボール箱を初回オーダーする場合、サイズや形状などで異なりますが安いもので1~2万円、高いものでは5~10万円の費用が必要となります。
一度製作した木型は当社で保管いたしますので、2回目以降のご注文に木型代は不要です。
※経年劣化等を鑑み、2年以上ご注文のない木型につきましては処分させていただきます。
サイズについて
ダンボールには「内寸・外寸・設計寸法」と呼ばれる3つのサイズ(寸法)計測方法があります。
お見積もり依頼をされる際は、こちらを参考にサイズをご指定ください。
※サイズ計測方法の呼称は業者によって異なる場合がございます。ご注意ください。
内寸(ないすん・うちすん)
- 組立時の内側の寸法
- 梱包箱として一番適切なサイズで製作ができます。
- オーダーメイドの際は「内寸」指定の上、内容物より5~10mm程度余裕をもったサイズをご指定ください。
【製造誤差について】
製造工程上、長辺・短辺・高さの各辺で±3~5mm程度のサイズ誤差が生じます。誤差を考慮したサイズをご指定ください。
外寸(がいすん・そとすん)
- 組立時の外側の寸法
- 宅配サイズや収納・保管スペースを適切に取りたい場合に必要な寸法です。
- 設計寸法より3~20mm程度(形状・材質等で異なる)大きくなります。
サイズ指定は「内寸」の方が正確な箱を製造できます。 宅配サイズなどを気にしない場合は、できるだけ「内寸」にてご指定ください。
設計寸法(せっけいすんぽう)
- 設計時の罫線寸法
- ダンボール箱を展開した時の罫線間寸法です。
- 厚さにより内寸・外寸ともにサイズが変わるため、一般的には使用されません。
サイズの単位について
オーダーメイドのサイズ入力はmm(ミリメートル)での入力になります。
見積もりをご依頼される際は、間違いのないようご注意ください。
例)100cm = 1000mm
厚さ・材質や強度について
ダンボールは「ライナー・中芯・厚さ」の組み合わせで、様々な名称や強度があります。
厚さと名称
厚い
薄い
|
名称 | 厚さ | |
---|---|---|---|
WF(ダブルフルート) | 8mm |
一般流通しているダンボールで最も厚み・強度のあるもの。 サイズが大きい物や重量物の外箱、海外発送用などによく利用されます。 |
|
AF(エーフルート) | 5mm |
最も一般的な厚さのダンボール。 通販商品の梱包用・出荷用としてや引っ越しなどに広く利用されています。 |
|
CF(シーフルート) | 4mm |
AF(エーフルート)と同等の強度を持った材質強化ダンボール。 4mmにする事で保管時の省スペース化を実現。 |
|
BF(ビーフルート) | 3mm | 宅配60サイズなどの比較的小さなものや軽量物用のダンボール箱や仕切り、内装箱として多く利用されています。 | |
EF(イーフルート) | 1.5mm | マイクロフルートとも呼ばれ、メール便対応ダンボール箱や個装箱に利用されています。美粧性の高いパッケージ向けです。 | |
GF(ジーフルート) | 0.9mm |
非常に薄手の為、オフセット印刷をほどこすことが可能です。 ギフト用パッケージやディスプレイ広告などに利用されます。 |
ライナーの材質
柔軟
硬い
|
材質 | 用紙重量(g/㎡) | |
---|---|---|---|
D4 | 120~130 | 一般的に、ライナーとして使用されない。中芯と同等の材質で、古紙の含有率ほぼ100% | |
C120 | 120~130 | コストが安くD4と比べてなめらかな材質。古紙の含有率は90%以上 | |
C5 | 160~180 | 白ダンボールやBF(3mm厚)でよく使用される。C120と比較して1.3倍程度厚い | |
C6 | 180~200 | Cライナーの中で強度がある。Kライナーで製作できない白ダンボールで使用される。 | |
K5 | 160~180 | AF(5mm厚)やCF(4mm厚)でよく使用される。クラフトパルプ100%で製造されたコシのある原紙 | |
K6 | 210~220 | K5よりも強度があり、重量物や精密機器の梱包箱としてよく利用される。 | |
K7 | 260~280 | 最も強度が高いダンボール原紙。輸出用や重量物用に使用され、一般的に使用されない。 |
中芯ーの材質
弱い
強い
|
中芯重量 | |
---|---|---|
120g | 一般的な中芯 | |
160g | 硬いライナーで製造できない白ダンボールや、板ダンボールでよく使用される。 | |
180g | 重量物や、輸出用に使用され、一般的に使用されない。 |
印刷について
ダンボールの印刷には「フレキソ印刷・オンデマンド印刷・オフセット印刷」の3つの方法があります。
主に使用される印刷はフレキソ印刷です。
フレキソ印刷について
フレキソ印刷は、樹脂のハンコを押し付けるスタンプのような印刷方法です。
版に弾力がある為に繊細なデザインではつぶれが起こりますが、凹凸のある段ボールでも美しく印刷できる低コストな印刷方法です。
印刷版を作成するため初回のみ版代が必要ですが、2回目以降は印刷コストがかかりません。
フレキソ印刷の表現力
フレキソ印刷は新聞紙のプリントにも使われている技術で、はっきりとした文字やベタ塗や"網点"と呼ばれる点の密度で色の濃淡をだす技法によって再現できます。
(樹脂版のため、デザインによっては印刷ムラや、細かすぎる場合は印刷潰れなどが発生します。)
※製造工場により細かな印刷の可能な範囲が異なります。画像(右)は厚み1.5mm以下の場合のみ対応可能です。
色見本
ボックスバンクでは、基本色として15色ご用意しています。
色見本以外のカラーをご希望の場合はお問い合わせください。
上段:クラフトダンボールに印刷
下段:白ダンボールに印刷
※色の見え方はディスプレイによって異なります。ご注意ください。
表現不可または難しいもの
- 全面印刷
-
罫線(折り目)付近は深い凹みができ、印刷できません。
1~1.5cmの余白を設けてください。 - グラデーション
- 一色毎(一版ごと)に印刷する為、色の変化が再現できません。
- 縁取り
- シャドウ(影)
- 各色が近い場合
-
各色(各版)で3mm程度の印刷ズレが起こりえます。
隙間や色の重なりができる可能性があります。
フレキソ印刷の注意点
-
- 初回オーダー時には印刷版代金が必要となります。
-
フレキソ凸版印刷はプリントをするために必ず樹脂のスタンプ版を製作する必要があります。
その為、初回のみ版代が発生します。2回目以降のリピート注文では版代をいただくことはございません。
版代例:単色 20×10cm 約10,000~15,000円(デザインによって更に安くなることもございます。)
-
- 一度作成した版は、サイズ変更できません。
-
フレキソ印刷は「版画」ですので、一度作成した印版のサイズは変更できません。
サイズの違うダンボールに比率を変えずにプリントしたい場合、別途版が必要となりますのでご注意ください。
あらかじめ印刷したいダンボールのサイズをお知らせいただければ、それぞれに合うように印刷版を作成することも可能です。
原則は不可とさせていただいていますが、まずはご相談ください。
※箱の形状やサイズによっては兼用できない場合もございます。 -
- あまりに繊細なデザインやカラーは、表現できない可能性がございます。
-
印刷版は弾力があるため、細すぎる線などは印刷時の圧力でつぶれてしまいます。
多色刷りの場合は色ごとに印刷するため、各色で3mm程度プリントのズレや色の重なりが発生する可能性あります。
あらかじめ印刷したいダンボールのサイズをお知らせいただければ、それぞれに合うように印刷版を作成することも可能です。
原則は不可とさせていただいていますが、まずはご相談ください。
※箱の形状やサイズによっては兼用できない場合もございます。 -
- 網点印刷をした場合、印刷にスジが入る可能性があります。
-
ダンボールの構造上、印刷する用紙(ライナー)に中芯との接着部と空洞部ができます。
その為、厚手なダンボール(中芯の波幅が広がる)ほど印刷にスジが入りやすくなります。
なお、製造工場によって、網点対応が異なります。
厚み3mm以上のダンボールの場合、工場により画像(右)程の細かい網点は対応が出来かねます。
網点でデザインを検討される場合は、事前にご相談をお願いいたします。
-
- インクは水性インクです。色の重なりにご注意ください。
-
インクは水性を使用しています。乾いた後の色落ちや滲みはさほど心配はありません。
ですが、印刷中に色の重なる部分は、境界線が滲んでしまいきれいに印刷できません。
また、色を乗算していくので、たとえば黄色と青が重なった個所は緑のようになります。
この方法を用いれば2つの版で3色まで可能ですが、色のズレを考慮してできるだけ色が重ならないようにデザインしてください。
- 印版を別のサイズのダンボール箱に兼用して使用することは原則できません。
- 印版作成後のロゴ・文字などのサイズや位置、内容の変更は修正費がかかります。
- 1種類のダンボールの印刷に使用する色数が多い場合はご相談ください。
- 印版の保管期間は、その版を使用する商品の最終注文日より2年間です。
- 各色(版ごと)で約3mmのズレが発生する可能性があります。
- 製造の都合上、ダンボール底面に「トンボ」と呼ばれる印刷位置調整マークが印刷される場合がございます。